第1研 02



み ず い ろ

nyu

01


「お兄ちゃん起きて、朝だよ」

「うーん、後3年位寝かせてくれ」

「3年って、それじゃ駄目だよ。」

 駄目って言われても眠いのは仕方がないんだから良いじゃないかマイシスター。
 なら之ならどうだ。

「まず奴だ、奴を起こしてくれ。奴が起きたら俺も起きるからそれまで寝かせてくれ」

 奴だったら簡単に起きないだろうからそれまでぐっすり眠れるぞ。

「ん、俺の事か」

 ・・・・・なんで起きてる。

「住人さんも起きてるしお兄ちゃんも起きてよ」

「はいはい」

 仕方がないから起きるか。

「おはようマイシスター」

 キラーン。
 意味もなく歯を光らせてみる、芸能人じゃないけど歯を何時でも光らせる事が出来るように手入れをおこたってはい
ないぞ。
 さすがは俺様だ。

「おはようお兄ちゃん」

 何故普通に挨拶をする、少しくらいは反応してくれマイシスター。
 ボケた意味が無いじゃないか、住人さんも何とか言ってくれよ。

「雪希」

 俺の電波が届いたのか住人さんが口を開く。

「今日の朝飯は何だ」

 ・・・・・お前帰れ!

「ご飯にお味噌汁、後はお弁当の余りです」

「ふむ、先に下に降りてるから健二もはやくこい」

「私も下に降りておくからお兄ちゃんも急いでね」

 虚しさで目が覚めたよ、誰も相手にしてくれないし俺様ピンチ。

「了解だ、急いで着替えるから先に食ってていいぞ」

「うん」

 今日の朝は虚しかったな。
 で、時間はどうかな。

「げっ、全然余裕じゃないか。住人さんが起きてたから少しは危ないと思ってたのにまだ寝れたな」

 ふぅー、起きた事だし準備でもするか。

「必殺、俺様朝の準備っ!!」

 説明しよう、俺様朝の準備とは、赤くは無いけど通常の3倍で準備が出来る優れものだ。
 ただし燃費も3倍かかるが・・・・・

「終ったな。腹減ったし下に行くか」

 下に降りると住人さんは既にご飯を食べていた。
 雪希は健気にも俺を待ってたみたいだ、流石マイシスター。

「あっ、お兄ちゃん準備できたの?」

「ん、結構早かったな」

 住人さん、食うか喋るかどちらかにしてくれ。
 飯粒が飛んでるし。

「はい、お兄ちゃん」

「ありがとう雪希」

 早速本日の朝食を食う。
 流石に美味い、俺の好みを良くわかっているではないか。
 +1点だ。

「はぐはぐ」

「がつがつ」

「お兄ちゃんも住人さんもそんなに急がなくても」

「急がないとこいつが食ってしまう」

 俺と住人さんは同時にお互いを箸で指しながら宣言する。

「えっと、まだ残ってるから大丈夫だよ」

 雪希よ、考えがまだまだ甘いぞ。
 この世は弱肉強食だ、飯は食べれる時にたらふく食っとかないと生き残れないぞ。
 少々間違ってるかもしれないが気にするな、気にしたら貴様の負けだ。

「ところで今日は何か予定はあったか、何かあったと思うのだがいまいち思い出せん。何か知ってるか?」

「俺は知らんぞ」

「私も知らないよ」

 ふむ、2人とも知らないとなると俺に関係する事か。
 で、思い出せないとゆう事はたいした用事ではないのか、厄介事なので無意識のうちに忘れたのかどちらかだな。
 前者であって欲しいのだが、後者のような気がする。
 俺の悪運に賭けるしかないか。

「ご馳走様、相変わらず美味かったぞ」

「そうだな朝から飯が食える事はいい事だ」

 全国を旅してた住人さんはここに住むまでは、まともに飯が食えなかったらしい。
 何回か見せてもらったけど、あの人形劇で金を稼ぐのはちょっと辛くないか?
 人形は凄くぼろいし、何より小さいと思う。
 糸も使わずに操るのは凄いと思うけど少々虚しいよ。

「じゃあ行くか」

「後少しで片付け終るから、先に玄関で待ってて」

「了解だ」

 雪希が片付けをしているので先に玄関に行ってて雪希を待つ。
 雪希だから待つが、日和相手だと待たずに先に行くね、俺は。
 で、何故か住人さんも玄関にいる。

「住人さん、どっか行くの?何時もは家でごろごろしてるのに」

「聖が朝から来いと昨日言ってたんだ。流石の俺もあいつの命令には逆らえない、死にたくは無いんだよ」

 確かにあの人の命令なら行くしかないか。
 拒否したらマジで殺されそうだし、少し悪口言っただけでメスで斬りかかって来たし、俺もあの人には逆らいたくは無
い。
 つーか、まだ死にたくない。

「お兄ちゃんお待たせ」

 住人さんと愚痴ってる間に雪希が来た。

「お兄ちゃんも住人さんも顔色悪いけどどうしたの?」

「いや、何でもない。気のせいだ」

 俺と住人さんの言葉はとても空しく響いた。
 俺は今日、関係ないけど思い出しただけで冷や汗もんだ。
 住人さんは・・・・・・・顔色悪いぞ、もしかして俺も似たような顔色してたのか?

「本当に大丈夫、なんだったら聖お姉ちゃんの病院にでも行く?」

 ああ、無知って素晴らしいね。
 聖さんは女の子には優しいんだよな、野郎には厳しいを吹っ飛ばして鬼及び悪魔だもんな。
 《女の子には優しく!》これは俺も賛成だ。
 野郎に優しくしてたら人生の無駄だ、しかし聖さんはヤリスギダヨ。

「ああ、本当に大丈夫だぞ雪希。だから病院は行かなくていいぞ」

「そお?」

「そうだ」

「じゃあ、行こうか」

「そろそろヤバイな」

 時計を見ると・・・・・・・やばっ、急がないと遅刻だ。

「行くぞ、雪希」

「うん」

「おう、行って来い」

 住人さんはそこまで急がなくても良いのか俺達の見送りをしてくれる。
 ついでに家の鍵も閉めといてね。
 で、

「赤い奴には負けんぞ!!俺ダッシュ!!!!!」

「ちょっと待ってよ」

 男子と女子では流石に運動能力が違うので少しだけ速度を落す。
 これ位なら雪希も追いつけるだろう。
 問題は時間だな、ギリギリ間に合うか間に合わないかわからない位に切羽詰ってる。
 少しは余裕あったと思ったけど、聖さんの事考えてた時少々思考が止まってたみたいだな、恐怖で。

「ねえ、お兄ちゃん」

 走りながら雪希が何かを聞いてくる。

「住人さんも何処か出かけるのかな、靴はいてたし」

「聖さんの所だ。呼び出されたらしい、多分雑用だろう」

「ふ〜ん。なら安心だね」

「安心?」

「だって、住人さんも顔色少し悪かったから」

「・・・・・・・・・」

 マイシスター、その聖さんが原因なんだよ。
 俺は関係ないしその事は忘れよう、それが良いな。

「その話はもう終わりだ。急がないと遅刻だぞ」

 ナイス俺、上手く話がそれた。
 ついでに速度アップ!!
 雪希には悪いが朝から胃が痛くなるような話は聞きたくない、涙をのんで置いて行く。

「まにあえ、まにあえぇぇぇぇぇぇ!!」

 どうだ、GP01に乗ったコウ・ウラキ並の叫び。
 移動速度も伊達じゃない!!

「どりゃぁぁぁぁぁ」

「せいやぁぁぁぁ」

 とりあえず、叫びならが走る。
 この調子なら俺だけは間に合う。
 雪希はどうだろう、頭だけ振り返り後ろを確認する。
 無理っぽいな、見えなくなってるし。

「校門も目の前だし、何とか間に合っ」

 後ろに向けていた頭を前に向ける。
 目の前には髪の長い女子生徒がいる、ぶつかるな。
 って、何冷静に分析してる。

「わっわわっ」

 ドーン!!
 俺は何とか倒れなかったけど相手の女子生徒は倒れてるな。
 これじゃあ、完璧に俺が悪じゃないか、間違ってはいないけど。

「すいません、前方不注意でした」

 いまだに起き上がっていない女子生徒に対して手をさしだす、俺って紳士だね。
 差し出された手をぼーと眺めて早くつかまってくれないかな。

「って、芹香先輩じゃないか」

 ああっ、俺は何とゆう事をしてしまったんだ。
 芹香先輩に・・・・・・ぐはっ、俺的自己評価-1だ。
 最悪だ、これで芹香先輩に嫌われるのか。
 えっぐ、えっぐ悲しいよ〜。

「・・・・・・・・・・・・」

「えっ、大丈夫ですか・・・・・うい、大丈夫です。芹香先輩こそ大丈夫ですか?」

「・・・・・・・・」

「大丈夫です・・・・それは良かった、もし怪我でもしてたら俺が悲しむ」

「・・・・・ぽっ」

「じゃ、先輩急がないと遅刻するよ」

「・・・・・・」

「うい、じゃあ」

 結局俺は遅刻した。
 芹香先輩と話している間に雪希は俺を追い越したようだ。
 少し位待ってても良いじゃないか、マイシスター。
 しかし、朝から芹香先輩に会えたのでグットだ。


つづく



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