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第1研 01 02 03 04 05 07

6.ふゅーちゃー・ぽいんと


 季節は桜咲く春4月、守は大学3年生となっていた。
 サキは希望通り、この春から地元の高校に「渡 サキ」として通うようになっていた。高校入学に必要な書類や戸籍等は座敷
童子の里の妖力と、
ガァーツの科学力で簡単に揃えることが出来た。サキは渡家の遠い親戚の娘で、両親の長期海外出張のために渡家に下宿し
ている事になってい
る。
 ヒビキは相変わらずだが、サエは里に帰っており、今は3人で暮らしている。


「はぁ〜今日は暖かいなぁ」
 土手の満開の桜並木を守は歩いていた。
「守さん」
 ふいに後ろから声をかけられ振り向くと、セーラー服の少女がにこやかに微笑んで立っていた。
「おう、サキか。学校終わったのか?」
「うん、今帰り。守さんは?」
「これから母さんとの特訓さ」
「あっ! いけない! 今日は私も特訓してもらうんだった! 守さん、先に行っててね。ヒビキさんにはちょっと遅れるかもって
伝えといてね」
「早く来いよ」
「わかった〜。キャー急がなくっちゃ! 大変大変!」
 慌てて土手を走り抜けて行く、セーラー服の少女を守は見て
「やっぱり“サキ”は“さき”だな。オテンバなところは全然変っちゃいないや」
と苦笑してしまった。
「さあて、行くか」
 あの日、光の国から帰って来てから守はヒビキから特訓を受けていた。簡単な格闘技とイメージトレーニング、全て力をコント
ロールする訓練を受
けるための準備であった。その特訓にサキも時々参加しているのである。
 ヒビキはこの春、ガァーツを引退していた。引退といっても実戦・前線から離れ後任に引き継いだだけで、地球での監視・連絡
役といったような事
をしているのであった。
 「ま、今日も頑張るかな!」
 そう、気合を込めると守はヒビキの待つ山の方へ走り出した。
 穏やかな春の日の午後であった。


 そして2年が経つ。
 守はヒビキとの約束通り、大学卒業後、光の国に旅立って行った。ヒビキはサキとともに地球に残る。
 この2年間、守とヒビキの特訓に付き合ったサキは、光の心の影響もあって『上伊那のスケバン刑事』と呼ばれる程に正義の
心を持つようになっ
ていた。余談ではあるが、ヒビキの影響で元来オテンバな性格に更に磨きがかかったようでもある。


 更に1年が経った。
 守が無事訓練を終えて帰ってくる。
 サキが高校を卒業し、二人は結婚をする。
 結婚をしたのは全てが始まったあの日であった。それは守の誕生日であり、5年前にサキ、いや「さき」が守にその姿を見ら
れ結ばれた日、4年
前に「さき」が人間となった日であった。
 結婚式は座敷童子の里で行われた。守とサキ、ヒビキとサエ、座敷童子の里の民、その中にはやはり今は幸せな暮らしをし
ている「もみじ」の姿
もある。そしてガァーツ関係者が数人参列し、質素ではあるが華やかな結婚式が執り行われたのである。
 式の始め、ヒビキが挨拶をした。
「今日は、ウチのバカ息子とサキちゃんの結婚式に来て頂いて、誠にありがとうございました。
 実は今日この日は、二人にとって結婚以外にもとても重要な意味を持つ日でもあります。
 まず、守の誕生日、サキちゃんと出会った日、サキちゃんが人間になった日でもありサキちゃんの新しい誕生日とも言えま
す。
 この日を境に、すべて未来が新しくやって来ました。それはこれからも変わらないでしょう。新しい未来への転換点“フューチャ
ー・ポイント”とも言
えるでしょう。
 皆様、これからもこの二人をどうか暖かく見守ってやってください。そして、未来へ進む手助けをしてやってください。よろしくお
願いします」
 そう、すべてはこの日から新しい未来が始まったのである。そしてこれからも。


 そしてそれは未来でもそうであった。
 二人が結婚した翌年、一人の男の子が誕生し、『和也』と命名される。
 しばらくは守・サキ・和也そしてヒビキ4人の生活を過ごす。和也が2歳の時に守とヒビキがガァーツ本部へと転任となる。
 そして、16年後の“フューチャー・ポイント”の日にそれは起こる、いや起こされたのである。
 公園で散歩をしていた和也の目の前に一人の少女が舞い降りた。その娘は『ひな』と名乗った。自分はガァーディアン・ハー
ツで、今度失態をす
ると永久追放になると。だから自分を家族にして欲しいと和也に願った。和也は驚いたが、サキはすぐに受け入れ、和也の部屋
に同居させてしま
ったのである。
 実はこれは、サキとガァーツ長官となっていた守の判断であった。
 そして、和也もその日を境に新しい未来が始まったのである。


 “フューチャー・ポイント”…それは新しい未来への入り口であり、スタート地点でもある。


                                   




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